茅野市の小平龍次さん きく農家として新規就農

2025.08.12

 茅野市の小平龍次さん(34)は2025年度、きく農家として新規就農の夢を叶えました。7月23日に初出荷を迎え、10月中旬頃まで週3日、収穫・箱詰め作業を行う計画。「本当の意味で農家としての一歩を踏み出すことができた」と晴れやかな表情で語ります。

 

 小平さんは同市出身で、長野市に勤務していました。リンドウ農家だった祖父の安次さんが4年前に亡くなって以降、帰省中は父の幸広さんとともに遺された畑を管理するようになり、就農を意識。自身が幼少期、安次さんの仕事を手伝っていたことから「甥や姪にも楽しみながら農作業を経験してほしい」、周りに耕作放棄地が増えていることから「地元の農風景を残したい」という思いがあったといいます。

 

 きくを選んだのは、少面積で収入を得られる品目で、品種やピンチ時期により開花期をコントロールし狙った時期に出荷できることなどから、自分の理想とする農家像と合致していたため。同市のきく農家の伊東悟さんのもとで、2年間の里親研修を受けました。

 

 今年度は輪菊「金扇立花」「松風の星空」や小菊「はじめ」「はるか」などを栽培。

初出荷のきくは、7月初旬の記録的豪雨による滞水が影響し、草丈の短い部分もできてしまいましたが、懸念していたサビやダニの発生はほぼありませんでした。

 

 「自分で一から育てたきくが出荷になったことで、焦りやもどかしさから解放され、やっと農家としての一歩が踏み出せたと感じている。伊東さんにも初出荷の報告ができてよかった」と振り返ります。

 

 ほ場を隅々まで見て回り、病気・病害虫の発生がないかなどを観察することで、高品質・安定生産を目指します。今年度は、年間4万本の出荷が目標です。

 「需要期の8月上旬出荷分の生育は順調。学生時代の後輩や家族が手助けしてくれ、人のつながりに支えられている」と感謝を口にします。

 

 将来を見据え、「〝信州諏訪の花〟ブランドを守り、消費者の方に選んで買ってもらえる花をつくる。ゆくゆくは祖父のように、自分の名前が入った箱を見つけて、買ってもらえたらうれしい」。さらに、「地元の仲間にも、農業で生きる選択肢を知ってもらい、一緒に働く仲間を増やして地域を活気づける農家を目指したい」と抱負を語りました。

 

出荷を控えるきくの生育を見守る小平さん