諏訪市の果樹農家「錦果園」はこの時期、リンゴとモモの木の剪定作業に追われています。自宅にはまきストーブ2台と掘りごたつがあり、剪定枝を有効に活用。同園の北澤利さん(75)は「石油ストーブやエアコンにないぬくもりがお気に入りで、暖かく冬を過ごせています」と笑顔を浮かべます。
同園は現在、北澤修一さん(79)・利さん夫婦の長男富士男さん(45)が代表を務めています。ほ場は同市と伊那市にあり、リンゴは「サンふじ」「シナノスイート」「ほっぺ」など数十品目を約2.3ヘクタール、モモは「黄金桃」「あかつき」など約13アールで栽培しています。
剪定は冬の間に行う仕事のひとつ。2月16日、利さんはモモの剪定を行いました。木全体を見渡し、光と風の入り方などバランスを考えながら、ノコギリや剪定ハサミを使って、不要の枝を切り落としていきました。「剪定は、果実の大きさや味など出来栄えを左右する重要な仕事。今はほとんどを息子に任せていますが、以前はよく夫と息子で剪定しており、私も枝を拾って束ねたものです」と振り返ります。
剪定枝は、太いものは40~45㎝ほどに切り揃えて自宅の小屋で保管。日々必要分を持ち出して、まきストーブにくべます。小枝は炭にし、掘りごたつや消雪剤として使用するといいます。「とくにリンゴの木は固く、ヤニも少ないため、まきストーブで使うのにぴったりです。私たち夫婦はもちろん、息子たちも気に入っている。家族皆で『まきストーブで寒さ無縁』で冬を乗り切りたい」と話しています。
利さんは、2017(平成29)年度から2020(令和2)年度までJA女性部の副部長、2021(令和3)年度は顧問として同部の発展を支えています。同部では現在、SDGs(持続可能な開発目標)について学び、積極的に導入していることに触れ、「剪定枝を処分せず有効活用するのは、40年ほど前から行っていますが、今わが家でできるSDGsのひとつだとも思っています。果樹農家さんにはぜひおすすめ。今後も身近なことから取り組んでいきたい」と抱負を語りました。
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